-
公開日:
- 2008-11-04 (火) 15:36

(社)日本口腔外科学会
理事長 福田 仁一
口腔外科の歴史は西暦前のエジプト時代にまでさかのぼることができます。また顎関節脱臼の徒手整復法にその名を残す医聖ヒポクラテスはB.C.460~377年の生存ですから、その歴史の古さを感じます。日本では養老2年(718年)に編纂された「養老律令」の中に耳目口歯科が制定されており、ご存知の華岡青洲(1760~1835)の弟子が著した「瘍科秘録」には唇裂、上顎癌、舌癌などの外科手術例や抜歯術などが記載されています。
口腔外科とは口腔、歯、顎骨並びにその隣接組織の全ての外科的疾患、外傷、発育異常を取り扱う専門部門であると定義されていますが、第一次、第二次世界大戦の戦傷で顎顔面外科として飛躍的な進歩を遂げた学問領域です。
日本口腔外科学会は、1933年5月に口腔外科専攻者及び同士が集まって組織した「口腔外科集談会」を母体として設立され、その後約60年を経て、1991年に社団法人日本口腔外科学会となり今日に至っています。本学会の目的は「口腔外科学に関する研究の進展と知識の普及を図り、わが国における学術の発展に寄与すること」です。
近代日本では、口腔外科学は歯科医学の範疇で発展してまいりました。これは医学の理念が生命に関わる病気の治療と予防であることに対して、歯科医学では口腔外科が主として行っている生命に関わる病気の治療と予防に加えて、治癒の見込まれない歯の病気(むし歯)の進行を止め、修復さらには欠損部の補綴という形で、咬合を代表とする口腔機能の改善に努めることもあって、この部分が歯科医学と医学の大きく違う点です。
現在、会員は9,112名、うち1,714名が当学会より認定された専門医となっています。1973年に始まった認定医制度は、2002年に厚生労働省が専門医広告を認める専門医制度として告示しましたが、当学会は2003年に歯科界第一号として専門医の認可を受けました。それに伴い、真に国民に理解され、信頼される質を担保することを目指して、専門医の資格条件や審査のハードルをこれまでより高いものに改め、2008年4月から新制度がスタートしました。
さらに学会活動では学術大会開催、学術雑誌発行など学術事業、グローバルスタンダードを常に念頭においた国際交流、発展途上国への援助などのほかに地域医療の中核となる病院歯科の基盤整備を目指した活動なども行っています。日本歯科医学会傘下の21専門分科会の中で最大規模を誇る中核団体として、歯科界はもとより医科系の専門学会とも緊密な連携をとりながら、国民に安心・安全な歯科医療を提供できますよう学会の総力を挙げて取り組んでいます。
一方、学会では国民の皆様に口腔外科診療をご理解いただくためのホームページも準備いたしましたのでご覧いただき、国民目線の開かれた学会を目指したいと思います。