顔面のトラブル

顔面に激しい痛みが発生する

三叉神経痛がその大部分を占めますが、他には帯状疱疹後疼痛や上顎洞炎(じょうがくどうえん)などが疑われます。受診されることをお勧めします。

三叉神経痛

痛みが顔の片側だけにあり、ときどき激しい痛みが数秒から2・3分続きます。痛み以外に異常なところはないのが症状です。
痛みが起きる場所に軽く触れるような動作(洗顔、歯磨き、髭剃り、食事、鼻をかむ)が引き金になることが多いようです。

三叉神経痛は、症候性三叉神経痛と真性三叉神経痛とに分類されます。
真性三叉神経痛の大部分は、脳血管による三叉神経根の持続的圧迫により、起こると考えられています。

症候性三叉神経痛は、三叉神経そのものに原因があるのではないので、原因を除去することで容易に治癒します。
局所的原因の多くは、歯および顎骨の疾患、その他、顎関節疾患、副鼻腔および中耳疾患、神経疾患、損傷などがあります。
全身的原因には、感染、各種中毒、リウマチ、代謝障害、内分泌障害、血液循環障害などがあります。

治療法は、症候性三叉神経痛の場合はその原因疾患の治療を行います。真性の場合は抗てんかん薬の投与、神経血管減圧術、アルコールなどによる神経ブロック、神経捻除手術などを行います。

帯状疱疹後疼痛

水痘・帯状疱疹ウイルスにより帯状疱疹が発症し皮膚の症状が消失したのちも疼痛が持続するものをいいます。

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

上顎の歯のう蝕や歯周病を引き起こした細菌による炎症が上顎洞(蓄膿症(ちくのうしょう)で膿(うみ)がたまる場所)に炎症を起こすことがあります。これを歯性上顎洞炎といいます。
上顎洞は上顎の歯と接近しているので、う蝕や歯周病を治療せずに放置していると、歯性上顎洞炎になることがあります。
急性の場合には、歯の痛みに続いて、突然悪臭の強い膿のような鼻汁や頬の痛みが現れます。
慢性の場合には、歯の痛みは比較的少ないようです。
いずれも片側だけに起ることが多いようです。
上顎洞炎の治療と原因歯であるう蝕や歯周病の治療をいっしょに行う必要があります。口腔外科での受診をお勧めします。

歯根膜炎(しこんまくえん)

歯の根の部分(歯根)をとり囲む歯根膜に炎症が生じたものです。原因としては
(1)う蝕により細菌が根管(歯の神経や血管がある部分)に感染し、歯根の先より歯根膜に感染をきたし炎症を生じる場合。
(2)歯に過大な力が働き(外傷、噛み合わせの異常により)歯根膜に炎症を生じる場合。
(3)歯周病により歯根膜に炎症をきたす場合。
などがあります。
いずれも歯に接触痛を生じます。